今回は、前回記事にしたBSとPLの関係の図を使って、今日急騰したアルメディオの業績回復について分析してみようと思います。

アテクトの記事以来の長文分析記事、果たしてうまく書けるでしょうか?


前回記事:投資家目線で見る財務諸表 ~BS(貸借対照表)とPL(損益計算書)の関係~
http://kenbou-invest.blog.jp/archives/41236746.html

アテクトの記事:事業構造からみるアテクト(4241)の改革
http://kenbou-invest.blog.jp/archives/29085784.html



詳しい話に入る前にアルメディオの基本情報について。
アルメディオはCDやDVDといった光ディスクのプレス販売や、光ディスクプレーヤー用のテストディスクを生産する会社で、特にプレーヤー用テストディスクにおいては圧倒的なシェアを誇る優良企業でした。

ただ、業界内では圧倒的なシェアを築いていたのですが、時代の流れとともに、業界自体がしぼんできます。
ipod等の躍進によりCDは売れなくなり、スマートフォンやパッドの台頭でYouTube等のストレージサービスが主流となりDVDも売れなくなってきます。つまり、アルメディオが圧倒的なシェアを誇っていた光ディスク業界の需要が急激にしぼんでいき、それに伴ってアルメディオの売上も急減し、赤字を出すまでとなってしまいました。

下がアルメディオの年間売上の推移のグラフです。
2007年から2013年まで売上が右肩下がりになっており、およそ半分まで落ち込んでいるのがわかるかと思います。

アルメディオの売上推移



















そして、去年、売上のV字回復を狙った中期経営計画を出しました(グラフの四角内の部分)。グラフ上ではきれいなV 字回復の計画となっております。これが実現するようであればそりゃ株価もV字回復していって株主もウハウハってなるんですが、今まで売り上げを減らし続けてきた会社が、いきなりV字回復の計画を出したところで、ほんまいか?ってなりますよね。

ってことで、今回の記事ではその計画の確からしさを、つまり、アルメディオが今までどのようにしてV字回復の準備を進めてきて、そして今後本当にV字回復していくのか?について、BSとPLの関係の図を使って分析していきたいと思います。(ちなみに自分はアルメディオの株をがっつり購入済みなので、かなりの楽観的バイアスがかかっていることを前提にお読みくださいね。)


まず、一般的な話をします。上にBS、下にPLの図でいうと、業績が苦しくなった企業が再生していく際には、下図のように右上から着手して、反時計回りにぐるっと回転する形で再生をはかっていきます。
(ここら辺は、前回の記事で書いた、通常の企業の企業活動の手順と同じ流れです)

業績回復パターン

















つまり、
「①財務リストラ(債務免除)→②資産リストラ(資産圧縮)→③費用リストラ(従業員リストラ、効率化)→④事業リストラ(売上を伸ばす)」の順で回復の準備を進めます。

っていうのも、後ろに行くほど、それを実行するための関係者が増えてくるんですよね。
①の債務免除は主に銀行と株主位しか関係者がいないのに対して、②は会社役員に了解が必要になるだろう。③くらいになると従業員のリストラは必要だし、取引先にも交渉が必要になってくる、④にいたっては顧客に対してお願いが必要になってくる。
ってことで後ろに行くほど多くの人を巻き込まないといけないので、実行が難しい。だから順番は右上から反時計回りに回っていきます。


じゃあ、アルメディオについてはどうなんだって言うと、アルメディオは2013年段階でも財務状態は悪くなかったので、①の財務リストラの必要性はありませんでした(ただ、ぐるっと回って、2周目に財務に手をつけているので後々財務が出てきます)

ってことで②の資産リストラから着手し始めます。
2012年4Qと2013年4Qに減損損失を計上し、無駄な資産を費用として特損計上します。
下の図はアルメディオの四半期ごとの利益の推移を表してますが、特に2013年(去年)の減損損失は大きくなっているのがわかるかと思います。

アルメディオの四半期利益推移








その結果、有形固形資産は大幅減となり、次年度以降の費用としての減価償却が削減されることとなります(土地の減損損失も含まれているので必ずしも費用減につながらない部分もありますけどね)。下のグラフは四半期毎の資産の推移のグラフですが、2013年4Qで大きく有形固形資産が減少している様子が見て取れます。

アルメディオの四半期資産推移













そうやって、②の資産のリストラをした後、本年度に入って③の費用のリストラを進めていきます。
もう一度四半期利益の推移を出しますが、2012年1Qと2014年1,2Qに早期退職者を募集し、割増退職金を特別損失として計上しています。

アルメディオの四半期利益推移









その結果、販管費率の推移をみると四半期を経過するごとに販管費率が下がって行っているのが確認できます。
アルメディオの販管費率






 









今年の2Qでも早期退職者を募集していたため、恐らくこの販管費はさらに下がっていくものではないかと推測できます。


そうやって、②資産のリストラ、③費用のリストラ を進めながら、④の事業のリストラも進めています。
2013年3Qから新規事業の一つである断熱材事業が大きく売上を伸ばし、つい先日の決算では2014年2Qでアーカイブ事業で大きな売上を上げ売上の拡大に加速がつききました。これは、ティアック社からストレージソリューション事業(SS事業)を4億円で譲受した結果です。

アルメディオの四半期売上推移










アルメディオの四半期事業別推移










売上の四半期推移を見ても、事業別推移をみても、その様子が確認できると思います。
実は、自分はこのアーカイブ事業の売上拡大をみて大幅な投資に踏み切りました。4億円でこの売上(利益も)は大変お得な買い物だったと思います(しかも7月末なので2か月での結果です)。


ここまで②から一周したのですが、もう一度①に戻って財務のリストラを実施します。
業績回復パターン


















それが、既存株主へのライツオファリング(既存株主への新株予約権の発行)です。
実際この財務リストラは、どちらかというと上場基準の10億円を維持するための手段だったように感じるのですが、これによって手元資金が充実し、ティアックからの事業譲受につながりましたし、今後の投資についても積極的に行っていけるのだと思います。のれんが1億円残っちゃったのは仕方ないですね。(今は一括償却できないし)

アルメディオの四半期資産推移


 









一般的に増資は既存株主にとっては好ましくない資本政策ですが、今回は上場廃止基準に呈する可能性が高かったことや、赤字続きで借入も難しかったんじゃないかと勝手な想像ができること。また、公募や第三者割当増資ではなく既存株主へのライツオファリングであることから、既存株主へ最大限の配慮をした、やむを得ない手段だったかな?っていう気もします。 赤字でも配当を出してくれてますし、株主を大事にしてくれる企業だと思いますけどね。今後は、ライツオファリングに応えた株主に対して、配当や自社株買いなどで報いてくれる企業だと信じています。業績拡大が続けば借入もできるでしょう。


っとまあ、駆け足で アルメディオの業績回復ぶりを振り返ってみました。
今回はBS、PLから過去の取り組みを中心にみました。
今後はアーカイブ事業や断熱材事業の成長の可能性、資産や従業員リストラの効果、さらなる投資の一手、光ディスク事業で残存者利益が得られるか?などが業績回復のカギを握っていると考えています。


今回の業務提携などはその片鱗を見ることができたため、今日のような大幅株価の上昇につながったのだと思います。あんなに減損損失を出した後なのに、まだまだPBRも低いですし、しばらくは楽しませてくれそうですが、どうなりますかね?


当たり前ですが、投資は自己責任でお願いしますね。


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